合理的配慮とは何かを簡単にわかりやすく具体例をまぜて説明します

最近は合理的配慮という言葉が
少しずつ広がってきています。

福祉分野で働く筆者としてはうれしい限りですが、
一方で言葉は広がったものの、
意味まではまだ浸透していないようにも感じます。

今回は合理的配慮について解説しましょう。


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目次

合理的配慮とは何かを福祉を学んでいない人にもわかりやすく解説


合理的配慮とは辞書的に言うなら、

「障害を持っている方等が、助けを求める意思表明があった場合、過度の負担にならない範囲で社会的障壁を取り除くために必要な便宜」

のことです。

これは、民間が経営するお店、
会社等の建物において努力義務として課されています。
国の行政機関や地方公共団体は法的な義務があります。

さて、辞書的でなく言うのであれば、

障害者の「できないこと」の多くは、「障害があるからできない」ものではなく、「社会制度の物理的、制度的設計が障害者を阻んでいるからできない」

というのが近いでしょうか。

合理的配慮の具体例を紹介 事例があればやっぱり伝わりやすい!


合理的配慮の一例として、
例えば、電車では事前に連絡をすれば、
車いすの方が乗りやすいようにスロープが
駅に用意されています。

これはもっと言ってしまえば、
スロープ付きか電車そのものに
乗りやすい改造がされるのが一番なのでしょうが、

それは非常にお金がかかり、
現実的ではなく「過度な負担」といえるでしょう。

しかし、持ち運べるタイプのスロープを用意するなら
コスト的には押さえられ、かつ、車いすで電車に乗る
という困難を解決しています。

また、講演会の際にはマイクやスピーカーだけだと、
聴覚障害者は参加できません。

手話や字幕が流れるような仕掛けがあれば
聴覚障害者も問題なく参加することができます。

これらは合理的配慮による社会参加のほんの一例ですが、
筆者としてはもっともっと身近な、
合理的配慮が生まれる前からある物で、
考えるとより分かりやすいかと思います。

それはメガネです。

筆者も大学に入ってからは
ずっとお世話になっているこの道具です。

これは社会等が障害者の要請にこたえて
用意してくれるものではないので、
厳密には合理的配慮とは違いますが、
考え方の根本はほぼこのメガネで表せます。

つまり、筆者には目が悪いという
課題があるわけですが、
それに対してメガネをかければ
健常の方と同じように目を使い、
普通の生活をすることができます。

合理的配慮とは、
このメガネに相当する部分を
社会で提供しようという考え方というわけです。

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合理的配慮とは簡単に…のまとめ 合理的配慮と自立


障害をもっていようと、
適切な設備あるいは配慮で克服、
軽減できるようなものがあるのだから、
それを負担のない範囲で用意するのは、
人権保障の上で大切なことです。
こういった配慮を逆差別のように言う人も一定数いますが、
障害があるから公的機関を利用できないなどというのは、
障害がある人を市民と認めないとなにも変わりません。
公的機関の機能を行使できないのは
明確に人権侵害と言えるでしょう。
ですので公的機関は努力義務ではなく、
法的義務があるというわけです。
民間企業における部分も
努力義務ではありますが、
本来障害があるから
お店に入れないというのもおかしな話です。
障害がある人がコンビニやスーパーで
買い物をしてはいけないというのでは、
これも結果として差別につながるでしょう。
例えば車いすが通れないような狭い店の場合、
そもそも土地そのものが狭くて改築も、
陳列棚も動かせないというような場合はともかく、
棚そのものの配置替えなどで
ある程度対応してくれて、
買い物がしやすいお店が
増えるといいなぁと、筆者は思います。
障害者の権利として
自立した生活も徐々に広がりを見せていますが、
コンビニもスーパーも
行くことができない、外食もいけない。
けれど、世の中は自立するべき
というようなことはおかしな話です。
自立してというと
何でも一人でというイメージがありますが、
誰かの協力を得ても自分でやりたいことを
決定することが本来の自立です。
しかし、こういった合理的配慮がない社会の場合、
そもそも選択肢を奪われているため、
本来的な意味での自立が困難です。
だれもが当たり前に自立して
自分の生き方を選択するために必要な配慮が
合理的配慮というわけです。
合理的配慮も大切なものですが、これが法的なものから、
メガネのように当たり前にだれもがそれを手にすることが
できるようになった時に本当の意味で
合理的配慮がなされた社会が完成するように筆者は思います。

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