障害者基本法と障害者総合支援法の違いをわかりやすく解説してみます

福祉の世界は似た名前の用語が非常に多く、
混乱しやすいです。

筆者としてはこの手のややこしい名前は
その法律や制度を必要とする方に
混乱を招きかねないので
あまり好きではありませんが、

かといって他にふさわしい名前も
思いつかないのも事実です。

せめて、支援する側に回る人くらいは
この違いを理解出来るようになっておきたいものですね。

そこで今回は、障害者基本法と障害者総合支援法の違いとは何か?
そんな疑問にお答えするべく、

障害者基本法の基本理念の注目すべきポイントや
障害者総合支援法の実地法としての意義などを、

わかりやすく解説することに挑戦してみました。
これから福祉について学ぼうと思っている方にも
理解しやすいように説明したつもりですので、
参考にしていただければ幸いです。


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目次

障害者基本法をわかりやすく解説 基本理念の注目ポイントは?


試験範囲的な意味での注目すべきポイントは
改定事の変化にありますが、
現在に至るまでの障害者基本法が生まれてから、

一貫してある、

「障害者があらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる」
「障害者の自立と社会経済活動への参加の促進」

の二点になります。

ハッキリと言ってしまえば、その後の改定というのは
その障害者とはなにかと言う部分の再定義と、

その障害者がどのようにすれば
上記の二点を達成できるかという
手段的な部分としての改定になるので

理念そのものとしては、
この理念を把握すればよいでしょう。

個人的には障害者権利条約から生まれた
2011年改訂の合理的配慮の誕生は理念とは別に
注目すべき部分かと思います。

1970年に制定された心身障害者対策基本法を前身として
1993年に改定された法律で、改定前との大きな違いに
知的、精神障碍者が対象者に加わった点が大きく異なり、

基本理念に

「障害者があらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる」
「障害者の自立と社会経済活動への参加の促進」を置いています。

また、国に「障害者基本計画」の策定を義務づけ、
毎年その進行や成果を国会に報告することで、
障害者への社会参加の転換期の一つになった法律だと
言って差し支えないでしょう。

そして、2004年に更に改定が加わり、3条3項に「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」ことが追加されました。

「差別してはならない」というのは、

何を当たり前のことを
という気持ちにもなるでしょうが、
それだけ社会に理解がなかったという現実があり、

この改定の後から現在に至るまでもなお、
差別は世の中にいくらでも転がっているという現実もあります。

また、その2年後の2006年には国会で障害者権利条約が採択され、
それに対応していく形で2011年にさらなる改定があります。

この改定では、障碍者の定義が広がり、

「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」

となりました。

これは、性同一性障害などのものも
日常生活や社会参加に壁があれば
障害として扱えることになります。

また、「合理的配慮」という概念が導入され、
社会的配慮やバリアフリーなどの設備の整備をする必要が
多くの企業、法人で生まれました。

但し、一般企業では努力義務どまりであり、
強制力としてはまだ弱く、障害を持つ人へは
まだまだ理解度が足りていないという問題も現実にあります。

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障害者総合支援法をわかりやすく解説 実地法の持つ意義は?


2005年に生まれた障害者自立支援法から
2012年改定されて生まれた法律が障害者総合支援法です。

自律支援法はそれまで障害の種類ごとに異なっていた
福祉サービスを一元化することをさだめたものの、

利用者の費用負担が増えたことなど、
本末転倒な結果も一部招いたことから

障害者団体が反発し、これを受けて、国が調整した結果、
総合支援法が生まれた経緯があります。

総合支援法は自立支援法から対象となる範囲を
身体、知的、精神に難病を加える形で広げました。

また、心身の状態に配慮して障害の程度を判断し、
必要な支援を示す「障害支援区分」を創設しました。

従来自立支援法の障害者程度区分は要介護認定の区分に近く、
知的、精神等と言った障害への認定が
実際の状態を反映できていないという課題がありましたが、

改正後の障害支援区分は必要な人に対して、
より支援しやすいようになりました。

自立支援法の目的としては、
サービス提供主体を市町村に一元化すること、

障害の種類にかかわらず、
障害のある方の「自立支援を目的」とした
共通の福祉サービスを、共通の制度により
提供することが大前提にありました。

自立支援というのは、
障害を持った方の社会参加と言う点に重点を置いています。
その中に障害者の就労も含まれます。

社会参加自体は正しいものの、自立支援法には
福祉の財政的な所で節約したいという国側の思惑もあり、

方向性としては間違っていませんが、
理念部分で骨になる所がなかったと言えるでしょう。

障害者総合支援法についてより詳しく知りたいという方は
自立支援法とセットで調べると良いでしょう。

総合支援法そのものはまだできて日が浅い法律であることや
自立支援法と重なる部分が多いので、総合支援法で調べると
自立支援法参照すればわかるため省略されるような事柄も多いのです。

まとめ 障害者基本法と障害者総合支援法の違いと障害者支援の先


障害者基本法と障害者総合支援法、
どちらの法律の変遷をたどっても
範囲が拡大されている事実を顧みるに、

何をもって障害であるかを問
われ始めているように筆者は思います。

福祉の業界では基本的な理解ですが、
障害にはそれそのものによる生きづらさ、
さらにそれに対する偏見などから生まれる
二次的な生きづらさがあり、

その両方をそれぞれ可能な限り
軽減していくことが重要になります。

そして、今は障害や難病などの
医療的知見によって診断されることが
多いですが、いわゆる健常者の方も

それぞれに生きづらさを抱えており、
それによって生活に困難を抱える方もいます。

これは障害として認定されていなくても、
その方にとっては特有の障害であるかもしれないというわけです。

例えば筆者は知らない人に対する電話が苦手です。
これに対して話す内容のメモ書きがあれば、
少しだけ落ち着いて話すことができます。

さすがにこれは障害と
言えるほどの物ではありませんが、
これが、生活困難のレベルとなると
障害となりうるわけです。

そういう意味で、
障害というくくりそのものではなく、

生きづらさに対してどのように
私たち一人一人や社会が
向き合っていくのかが大切と言えるでしょう。

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